自作*アナライズ

作曲した内容の公開と分析です。参考となる部分があったら嬉しいです!

腕の重さ・五本の指の独立

この記事は加筆・修正(2017.6.14)を行いました。

さて、、大昔のお話で恐縮でございます。音大浪人1年目のスタート。S音楽院「グレード分けのテスト」でソルフェージュEクラス」に入れられた僕でした。このEは最も下のクラス。掃溜めみたいなものでしょうかねぇ。表現は何ですけれど。AからEまで、どのクラスにおいても様々な専攻が入り乱れているわけですが、なるほどというべきか、AB辺りになるとバイオリンとか作曲とかの専攻が多いわけです。僕とはレベルが天と地ほども違う。天どころか宇宙の彼方と言った方が良いかも知れない。大袈裟な話ではなく。こういった類いの衝撃は。この先何度もでも経験することになります。そしてまずその手始めに、鬼のように恐かったT先生から徹底的にフォームを矯正されたわけです。

1.片腕の力を抜きます。

2.もう片方の腕で支えます。

3.支えを外します。

4.支えを失った腕は鍵盤に向って落下して行きます。

5.そして轟音が出ます。

※やり方に注意しないと怪我をするといけないので注意がひつようです。あまり上から、というのは止めましょう。

こうして、自分の腕の重さを認識することが大切です。

肘、手首、肩に余分な力を入れて弾いてもキレイな音も、大きな音も出ない。

腕の重さを自然なアプローチで鍵盤に到達させるフォーム造りを考えることになります。そのフォームの中で五本の指、それぞれの特性を考えるということが重要です。

人間の手というのは実際ピアノを弾く事に適しているのでしょうか?

疑問を感じるところもあります。

例えば、親指です。親指だけはその動きが異なる。大きな音も出せるけれど動きが鈍く音に小さな差異をもたせることは苦手。ポイントは横に円滑に動かせるかどうか、他の指に悪い影響を与えないよう無駄のない動きが求められます。

エストロ・ベートーベンは「ピアノを上手に弾くには親指の動きひとつだ」とおっしゃったそうです。流石です!!

そして、最もヤバい(失礼)部位。それは薬指と小指付近のバランスの悪さ。

小指は意外にそこそこの強さを持つ指ですが、薬指と連動してしまい、(薬指と共に)五本の指全体の動きを阻害するケースがある。

よって、この小指と薬指を若干持ち上がるように、手の甲を若干親指側に傾けてあげると良い。極端ではなくほんの気持ち。

それにより、手の右側付近に空間が置かれて小指の強さと薬指の繊細さが発揮出来るようになる。

油断のならない指。これは僕個人の見解となりますが「中指」です。

中心に位置し、最も長く頼りになりそうなイメージがありますが、意外に鈍く、また繊細さにも欠ける。この中指が鍵盤を叩くときの角度、形、出されている音には注意が必要ではないか、と思います。

最も強く安定しているのが一差指ですが、しかしこの指に頼り過ぎて、バランスを崩すとリズムが転ぶ危険が出て来ます。5本の指はそれぞれ持っている強さが異なりますが、持つべきイメージとしては均一、均質な音を創出するというものでしょう。そう言った場合、それをコントロールするのは「脳」です。脳が学習しフォームを修正して行きます。

それを言葉で現すのは大変難しい。

また、個人によって異なる身体のこと。筋肉、骨の形、手足のバランス、肩幅、肩から肘、手首までのそれぞれの部位の長さ、そして手の甲の広さと指の長さとのバランス。そして体重、単に体重だけではなくて、その重さがどのような成立の仕方によるものなのか?ピアノの音や演奏には、人間としての個性(キャラ)がすぐに取り沙汰されるが、人間という生物としてのピアニストが鍵盤を叩くことを考えると、少し気味の悪いところはあるものの興味深いヒントがあるように思える。

少なくとも自分の身体のことを知った上で、指を鍵盤に向って落として行く、落とした瞬間力が霧散する(ゼロとなる)一連の動きを微細に考えてみることは、そう無駄ではないのでは、、と考えたりします。

突き詰めれば、個としてのピアニストは自分の脳がコントロールし、また結果としてフィードバックされたデータから、また修正を施すという宇宙的な数のやり取りを通して深化し、フォームを確立していくものだと思います。

 

フォームをチェックするときは、まず5本の指を鍵盤にのせて、親指から小指まで順番にゆっくりと「ドレミファソ」と弾きます。

その時、上記で述べたようなそれぞれの指の役割を考えると良いでしょう。

指を上げて落として行く、その段階でどのように力が入り、どのように脱力するのかを感じ取ります。音が鳴った瞬間にはその指は完全に力が抜けており、脳は次の動作に対するコントロールを始めます。その繰返しが自然に行われ、出音が均一であることを自分の耳で掴みとりましょう。

「ピアノが上手くなるということ」は突き詰めれば自分の耳次第ということかも知れません。だからこそのソルフェージュということになるのでしょうけれど。ソルフェージュが音大受験のために在るというよりは、本当は音楽家達のウォーミングアップ、夏休みのラジオ体操みたいに気軽に実施されることが正しいのだと思います。